
1. はじめに:プロンプトって何?
生成AIを動かすための“指令文”をプロンプトと呼びます。
人間にとっての「お願いメモ」や「レシピ」に近いもので、AIに何をどう作ってほしいのかを具体的に伝えるための文章です。
例えば、カフェで「コーヒーください」とだけ注文するよりも、
「ミルク入り、砂糖なし、マグカップでお願いします」と言った方が、自分好みの一杯が出てきますよね。
プロンプトも同じで、具体的に書くほど理想の結果に近づくのです。
2. なぜプロンプトが重要なのか?
生成AIは万能の魔法ではありません。
指示が曖昧だと、結果も曖昧で望む結果が得られないことがよくあります。
- 短すぎる指示 → AIが勝手に解釈してしまう
- 情報不足 → 結果がぼんやりする
- 条件を詰め込みすぎ → AIが混乱する
上手なプロンプトは、
必要な情報を過不足なく、具体的にわかりやすく伝えること
これがポイントです。
3. プロンプトの基本構造

文章生成でも画像生成でも、プロンプトは大まかに次の要素で構成できます。
- 目的(何を作るのか)
- 内容や条件(テーマ・スタイル・詳細設定)
- 制約(文字数、使用する言葉、構図など)
4. 文章生成AI向けプロンプト実例5選(日本語+英語)
例1:ブログ記事作成
- 英語プロンプト:
Write a 500-word blog post about healthy breakfast ideas for busy mornings, in a friendly tone.
- 日本語プロンプト:忙しい朝におすすめの健康的な朝食アイデアについて、フレンドリーな口調で500文字のブログ記事を書いてください。
例2:メール文作成
- 英語プロンプト:
Draft a polite email to decline a meeting request due to a scheduling conflict.
- 日本語プロンプト:スケジュールの都合により、会議の依頼を丁寧にお断りするメール文を作成してください。
例3:商品説明文
- 英語プロンプト:
Write a catchy product description for a reusable water bottle, highlighting eco-friendly features.
- 日本語プロンプト:再利用可能なウォーターボトルについて、環境にやさしい特徴を強調した魅力的な商品説明を書いてください。
例4:物語の導入文
- 英語プロンプト:
Write the opening paragraph of a mystery novel set in a small coastal town.
- 日本語プロンプト:小さな海辺の町を舞台にしたミステリー小説の冒頭段落を書いてください。
例5:SNS投稿文
- 英語プロンプト:
Create a short, engaging Instagram caption for a photo of a sunset over the mountains.
- 日本語プロンプト:山々に沈む夕日の写真に合う、短く魅力的なInstagramのキャプションを作ってください。
5. 画像生成AI向けプロンプト実例5選(日本語+英語)
例1:SNS用イラスト
- 英語プロンプト:
a cute watercolor illustration of a cat drinking coffee, pastel colors, soft lighting
- 日本語プロンプト:コーヒーを飲む猫のかわいらしい水彩イラスト、パステルカラー、柔らかな光
例2:商品写真風
- 英語プロンプト:
realistic photo of a leather wallet on a wooden table, top view, warm lighting
- 日本語プロンプト:木のテーブルの上に置かれた革財布のリアルな写真、俯瞰構図、暖色系の照明
例3:風景画
- 英語プロンプト:
sunset over a lavender field in Provence, impressionist painting style
- 日本語プロンプト:プロヴァンスのラベンダー畑に沈む夕日、印象派の絵画スタイル
例4:キャラクターデザイン
- 英語プロンプト:
anime-style female warrior with silver hair, detailed armor, dynamic pose
- 日本語プロンプト:銀髪の女性戦士、アニメ風、細部まで描き込まれた鎧、躍動感のあるポーズ
例5:インフォグラフィック
- 英語プロンプト:
infographic about coffee brewing methods, minimal design, flat icons, clear typography
- 日本語プロンプト:コーヒーの淹れ方に関するインフォグラフィック、ミニマルデザイン、フラットアイコン、読みやすい書体
6. プロンプト改善テクニック
- 条件を少しずつ追加して微調整
一度に詰め込みすぎず、何度か試す方が精度が上がります。 - 形容詞・副詞でニュアンスを指定
「鮮やかに」「落ち着いた雰囲気で」など、雰囲気を決める言葉を入れると印象が変わります。 - サンプルを見せる
「この画像の雰囲気で」と参考素材を添えると、イメージの共有度が上がります。 - 結果を評価してフィードバック
「もっと◯◯に」「もう少し△△を減らして」とAIに指示すると、次の出力が改善されます。
7. 安全に使うための注意点
- 著作権・商用利用ルール
ツールによって生成物の権利や利用範囲が異なります。必ず利用規約を確認しましょう。 - プロンプトの工夫
曖昧な指示は曖昧な結果につながります。必要に応じて細かく指定しましょう。 - 情報の取り扱い
個人情報や機密情報はプロンプトに入れないことが大切です。
AIに送った内容は、保存・解析される可能性があるため、個人情報や機密情報が第三者に漏れるリスクがあるからです。 - 倫理的配慮
差別的、攻撃的な内容や違法なコンテンツ生成は避けましょう。
8. まとめ
プロンプトは生成AIを活用する上での“舵”のような存在です。
短い命令文ひとつで結果は大きく変わり、少しの工夫で精度や表現力が飛躍的に高まります。
今回紹介した文章生成と画像生成の実例を使えば、英語が苦手な方も日本語プロンプトから試せますし、英語プロンプトをそのまま貼り付けて使うこともできます。さらに、改善テクニックを組み合わせることで、自分のイメージに近い成果物を安定して得られるようになります。
ただし、生成AIは万能ではありません。指示が適切でないと的外れな結果になったり、意図しない出力が混ざることもあります。また、著作権や利用規約、倫理面の配慮も欠かせません。これらを守ることで、安心してAIを活用できます。
プロンプトの質を磨くことは、AIを「ただ使う」から「自在に操る」へと進化させる第一歩です。ぜひ日常やビジネスの場面で試し、あなたならではの生成AI活用術を確立してみてください。
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参考情報
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